## 人身事故を起こしても損害無しになるケースがある？ 人身事故を起こしてしまった場合、加害者側は必ず損害賠償責任を負うのでしょうか？ 実は、状況によっては損害賠償責任が発生しない、つまり「損害無し」となるケースも存在します。この記事では、人身事故を起こした場合でも損害賠償責任が発生しないケースについて、日本の交通弁護士の視点から解説します。

人身事故を起こした場合、通常は被害者の治療費、休業損害、慰謝料など、様々な損害が発生します。これらの損害に対して、加害者は賠償責任を負うことになります。しかし、例外的に損害賠償責任が発生しないケースも存在します。それは、主に以下の2つのパターンに分類されます。

被害者側に重大な過失がある場合

交通事故における過失割合は、加害者と被害者の双方の責任の度合いを数値化したものです。例えば、信号無視をした歩行者が車に轢かれた場合、歩行者側の過失が大きくなる可能性があります。もし、被害者側の過失が極めて大きく、事故の原因のほとんどが被害者にあると判断された場合、加害者の損害賠償責任が大幅に軽減、あるいは免除されることがあります。

ただし、過失割合の判断は非常に複雑で、事故状況、道路状況、当事者の証言など、様々な要素を考慮して決定されます。単純に「被害者が悪いから賠償しなくて良い」とはならないことを理解しておく必要があります。

因果関係が認められない場合

損害賠償責任が発生するためには、加害者の行為と被害者の損害との間に因果関係が認められる必要があります。つまり、「加害者の行為がなければ、被害者の損害は発生しなかった」という関係性が証明されなければなりません。

例えば、人身事故後、被害者が後遺症を訴えたとします。しかし、医学的な検査の結果、その後遺症が事故とは無関係であると判断された場合、その部分の損害賠償責任は発生しません。また、事故によって生じたとされる精神的な苦痛についても、事故との因果関係が認められない場合は、慰謝料の請求が認められない可能性があります。

弁護士への相談の重要性

人身事故を起こしてしまった場合、ご自身だけで判断せずに、必ず弁護士にご相談ください。損害賠償責任の有無、過失割合の算定、因果関係の証明など、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。弁護士は、法律の専門家として、事故状況を詳細に分析し、適切なアドバイスを提供してくれます。

特に、被害者側の過失が大きい場合や、因果関係が争点となる場合には、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士は、証拠収集や交渉を通じて、加害者側の権利を最大限に守ってくれます。

人身事故は、誰にでも起こりうる事故です。万が一、事故を起こしてしまった場合は、冷静に対応し、速やかに弁護士にご相談ください。早期の段階で弁護士に相談することで、その後の手続きをスムーズに進めることができます。