## 人身事故を起こしても損害無しは？ 人身事故を起こしてしまった場合、加害者として責任を問われるのは避けられないと考えるのが一般的でしょう。しかし、稀に「人身事故を起こしたけれど、相手に全く損害がない」というケースも存在します。このような場合、加害者はどのような責任を負うことになるのでしょうか？

結論から言うと、人身事故を起こした場合、たとえ相手に全く損害がないとしても、刑事責任、行政責任、民事責任の全てにおいて責任を問われる可能性はあります。それぞれの責任について詳しく見ていきましょう。

刑事責任について

人身事故の場合、刑法上の過失運転致傷罪（自動車運転処罰法違反）に問われる可能性があります。これは、過失によって人を死傷させた場合に適用される罪です。たとえ被害者に怪我がなくても、精神的なショックや病院での検査費用が発生した場合、損害があったとみなされる可能性が高いです。しかし、本当に全く損害がなく、被害者が警察への届け出を拒否した場合、刑事事件として立件される可能性は低くなります。ただし、警察は独自の判断で捜査を行うこともあります。

行政責任について

人身事故を起こした場合、免許の減点や停止といった行政処分を受ける可能性があります。これは、道路交通法に基づき、安全運転義務違反やその他違反行為に対して課されるものです。たとえ被害者に怪我がなくても、事故を起こしたという事実だけで減点されることがあります。減点の点数は、事故の状況や違反内容によって異なります。免停期間は過去の違反歴によって左右されます。

民事責任について

民事責任とは、損害賠償責任のことです。人身事故を起こした場合、加害者は被害者に対して損害賠償責任を負います。損害賠償の対象となるのは、治療費、慰謝料、休業損害、後遺障害による逸失利益などです。たとえ被害者に怪我がなくても、精神的な苦痛に対する慰謝料や、病院での検査費用などを請求される可能性があります。しかし、被害者が全く損害を被っていない場合、損害賠償請求は認められない可能性が高いと言えます。ただし、示談交渉において、お詫びの気持ちとして慰謝料を支払うケースもあります。

弁護士に相談するメリット

人身事故を起こしてしまった場合、加害者として様々な不安を抱えることでしょう。特に、相手に損害がない場合でも、どのような対応をすれば良いのか悩むかもしれません。このような場合、弁護士に相談することで、法的アドバイスを受け、適切な対応策を講じることができます。弁護士は、事故の状況を詳しく聞き取り、刑事責任、行政責任、民事責任について、それぞれの可能性と対応策を説明してくれます。また、被害者との示談交渉を代行してくれるため、精神的な負担を軽減することができます。特に、損害賠償請求を受けた場合、弁護士に依頼することで、適正な金額で示談交渉を進めることができます。

交通事故に遭ってしまった場合、まずは弁護士に相談することを検討しましょう。早期に相談することで、適切な対応を取り、将来的なトラブルを回避することができます。