交通事故に遭った際には、警察への通報が不可欠です。事故の状況や加害者の特定、過失割合の判断などに警察の対応が必要だからです。しかし、警察対応が遅れた場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

証拠の消失

警察対応が遅れると、事故現場の状況や証拠が消えてしまう恐れがあります。事故直後であれば、目撃者もおり、タイヤ痕や破損状況などの証拠も残っています。しかし、時間が経つにつれて、目撃者は離散し、証拠も風雨や通行人によって損なわれてしまいます。警察対応が遅れれば、客観的な証拠に基づく事故状況の把握が困難になります。

記憶の曖昧化

警察対応が遅れると、当事者や目撃者の記憶も曖昧になってしまいます。事故直後は興奮状態のため、記憶が鮮明ですが、時間が経つにつれて、記憶が薄れ、誤った情報を覚えてしまう可能性もあります。また、事故後に示談交渉などがあると、記憶が操作されてしまうおそれもあります。

加害者の逃走

警察対応が遅れると、加害者が逃走する恐れがあります。事故直後に警察が現場に到着すれば、加害者の身柄を確保し、逃げられないようにすることができます。しかし、警察対応が遅れると、加害者が逃走し、身元不明のままとなる可能性があります。身元不明の加害者に対する損害賠償請求は困難です。

保険金の不支給

交通事故の際に、警察への通報が遅れると、保険金の不支給が生じる可能性があります。多くの保険会社では、事故発生後一定期間内に警察へ通報することを義務付けています。警察への通報が遅れると、保険金が支払われないか、減額されて支給される場合があります。

以上のリスクを回避するために、交通事故に遭ったらすぐに警察への通報をしましょう。警察への通報は、事故の正確な状況を把握し、証拠を確保し、加害者の逃走を防ぎ、保険金の不支給を回避するために不可欠です。