## 異張すると歯が浮くのはなぜ？ 歯列矯正治療中に「異張（いちょう）」と呼ばれる処置を行うことがあります。この異張、つまり歯と歯の間に隙間を作る処置をすると、「歯が浮く」ような感覚を覚える方がいらっしゃいます。これは一体なぜなのでしょうか？

歯列矯正における異張は、歯を動かすスペースを作るために行われます。歯並びがガタガタだったり、歯が重なり合っている場合に、歯を綺麗に並べるためには、どうしてもスペースが必要になります。そのスペースを作る方法の一つが異張です。異張には、ヤスリのような器具で歯の側面を少しずつ削る方法（ストリッピング）や、ゴム製の小さなリング（セパレーター）を歯と歯の間に挟み込む方法などがあります。

歯が浮く感覚の原因

異張後に歯が浮くような感覚を感じる主な原因は、以下の3つが考えられます。

* **歯根膜の炎症:** 歯と顎の骨の間には、歯根膜という組織があります。この組織は、歯に加わる力を分散させたり、衝撃を吸収する役割を持っています。異張によって歯に力が加わると、この歯根膜に炎症が起こり、その炎症が「歯が浮く」ような感覚として認識されることがあります。特にセパレーターを使用した場合、歯が押し広げられる際に強い力が加わるため、この症状が出やすい傾向にあります。 * **歯の移動:** 異張は、文字通り歯を動かすための処置です。歯が移動する際には、歯根膜や周囲の組織に変化が生じます。この変化が、一時的に「歯が浮く」ような感覚を引き起こすことがあります。 * **咬合の変化:** 異張によって歯の位置がわずかに変わることで、噛み合わせ（咬合）が変化することがあります。この咬合の変化が、歯に違和感を与え、「歯が浮く」ような感覚として感じられることがあります。

歯が浮く感覚への対処法

異張後に歯が浮く感覚は、通常、数日から1週間程度で自然に治まることが多いです。しかし、不快感が強い場合は、以下の対処法を試してみてください。

* **柔らかい食べ物を食べる:** 硬い食べ物は、歯に負担をかけ、痛みを悪化させる可能性があります。柔らかい食べ物を中心に摂取するように心がけましょう。 * **鎮痛剤の使用:** 痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤を服用することもできます。ただし、服用前に医師や歯科医師に相談することをおすすめします。 * **歯科医院への相談:** 痛みが長引く場合や、症状が悪化する場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。歯科医師が症状を確認し、適切な処置を行ってくれます。

異張は必要な処置

異張は、歯列矯正治療を成功させるためには、しばしば必要な処置です。一時的に「歯が浮く」ような感覚を伴うことがありますが、多くの場合、自然に治まります。もし、不安なことや気になることがあれば、遠慮なく担当の歯科医師に相談するようにしましょう。