## 人身事故は必ず安全ですか？

交通事故に遭われた際、物損事故として処理されるか、人身事故として処理されるかで、その後の対応や補償に大きな違いが出てくることはご存知でしょうか。多くの方が「人身事故」という言葉を聞くと、身体的な被害が発生しているため、物損事故よりも安全で、より有利な状況になると思いがちです。しかし、本当にそうなのでしょうか？

人身事故として扱われるメリット?デメリット

人身事故として扱われることには、確かにメリットも存在します。例えば、以下の点が挙げられます。

* **治療費や休業損害の請求が可能:** 身体的な被害に対する治療費や、休業せざるを得なくなった場合の休業損害を請求することができます。 * **慰謝料の請求が可能:** 精神的な苦痛に対する慰謝料を請求することができます。 * **実況見分調書の作成:** 警察が事故現場を詳細に調査し、実況見分調書を作成するため、事故状況を客観的に証明する資料となります。 * **刑事処分:** 加害者に刑事処分が科される可能性があり、抑止力となります。

しかし、人身事故として扱われることには、デメリットも存在します。例えば、以下の点が挙げられます。

* **手続きが煩雑:** 物損事故よりも手続きが複雑になり、時間と手間がかかります。 * **示談交渉が難航する可能性:** 損害賠償の金額や過失割合などで、加害者側との示談交渉が難航する可能性があります。 * **訴訟に発展する可能性:** 示談交渉が決裂した場合、訴訟に発展する可能性があります。 * **保険料が上がる可能性:** ご自身の保険を使用した場合、保険料が上がる可能性があります。

人身事故扱いにしない方が良いケースも存在する？

必ずしも人身事故として扱われることが、被害者にとって常に有利であるとは限りません。軽微な事故で、ほとんど怪我がない場合、あえて人身事故扱いにしない方が良いケースも存在します。例えば、

* **軽微な怪我で通院の必要がない場合:** 通院の必要がない程度の怪我であれば、治療費や慰謝料の請求額も少額になり、手続きの手間や時間に見合わない場合があります。 * **加害者との関係性が良好で、示談がスムーズに進みそうな場合:** 加害者との関係性が良好で、誠意ある対応が期待できる場合は、物損事故として示談交渉を進めることで、早期解決を目指せる場合があります。 * **ご自身の保険料が上がってしまう場合:** ご自身の保険を使用した場合、保険料が上がってしまう可能性があります。保険料の値上がり額と、請求できる損害賠償額を比較検討する必要があります。

弁護士への相談を検討しましょう

交通事故の状況や被害の程度によって、人身事故として扱うべきかどうかは異なります。ご自身で判断するのが難しい場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することを検討しましょう。弁護士は、事故状況を詳細に分析し、最適な解決策を提案してくれます。また、示談交渉や訴訟の手続きを代行してくれるため、精神的な負担を軽減することができます。

交通事故に遭われた場合は、まずは警察に届け出を行い、弁護士に相談することを強くお勧めします。弁護士に相談することで、ご自身の権利を守り、適切な補償を受けることができる可能性が高まります。