## サンキュー事故、どっちが悪い？

交通事故の形態の一つである「サンキュー事故」。これは、本来停止すべき車両が、相手車両に「どうぞ」と譲った結果、その譲られた車両と別の車両が衝突してしまう事故を指します。一見、善意の行動が引き起こした事故に見えますが、責任の所在は複雑です。今回は、サンキュー事故における責任の所在と、過失割合について解説します。

サンキュー事故とは？

サンキュー事故は、主に交差点で発生しやすい事故です。例えば、交差点で直進車Aが、右折待ちの車Bに対して、「どうぞ」と手招きや合図で譲ったとします。車Bは、Aの合図を見て右折を開始しますが、その際、対向車線から直進してくる車Cと衝突してしまいます。この場合、車Aの善意の行動が、結果的に事故を誘発してしまったことになります。

過失割合の判断基準

サンキュー事故の過失割合は、一概に決めることはできません。事故の状況、道路状況、各車両の運転状況などを総合的に判断して決定されます。一般的には、以下の要素が考慮されます。

* **譲った側の責任:** 譲った側の車Aは、本来停止すべき状況で、安易に譲ってしまった責任を問われる可能性があります。特に、見通しの悪い場所や、対向車の有無を確認せずに譲った場合は、過失が大きくなる傾向があります。 * **譲られた側の責任:** 譲られた側の車Bは、譲ってくれた車Aの合図を鵜呑みにせず、安全確認を十分に行う義務があります。対向車の有無、歩行者の有無などを確認し、安全に右折できる状況であることを確認してから右折する必要があります。安全確認を怠った場合は、過失が大きくなります。 * **衝突した側の責任:** 衝突した側の車Cは、交通ルールを守り、安全運転をする義務があります。交差点に進入する際は、減速し、周囲の状況に注意を払う必要があります。明らかにスピード違反をしていたり、前方不注意だったりした場合は、過失が大きくなります。

具体的な過失割合の例

サンキュー事故の過失割合は、状況によって大きく異なりますが、以下にいくつかの例を挙げます。

* **譲った車A：30%、譲られた車B：70%**： 譲った車Aが見通しの悪い場所で安易に譲り、譲られた車Bが十分な安全確認を怠った場合。 * **譲った車A：20%、譲られた車B：50%、衝突した車C：30%**： 譲った車Aの過失が比較的少なく、譲られた車Bの安全確認義務違反に加え、衝突した車Cにも前方不注意があった場合。

これらの割合はあくまで一例であり、実際の事故状況によって大きく変動することを理解しておく必要があります。

弁護士への相談の重要性

サンキュー事故は、責任の所在が複雑で、過失割合の判断が難しいケースが多いです。当事者同士での話し合いでは解決が難しい場合もあります。そのため、交通事故に詳しい弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。弁護士は、事故状況を詳細に分析し、法的根拠に基づいた主張を行うことで、適切な過失割合を導き出すサポートをすることができます。また、保険会社との交渉も代行してくれるため、精神的な負担を軽減することができます。

サンキュー事故に遭ってしまった場合は、まずは警察に届け出を行い、事故状況を記録することが重要です。その後、速やかに弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けるようにしましょう。