2026-03-29 21
交通事故の慰謝料は、怪我の状態や通院日数に比例して支払われることが一般的ですが、多くの被害者の方が「通院日数を長くすれば長くするほど、損害賠償額が多くなるのではないか?」と誤解し、怪我の状態に関わらず「毎日病院に行く」ことを強いることがあります。
しかし、交通事故の示談交渉において、本当に「毎日通院した方がいい」のでしょうか,私が交通事故弁護士として、実務経験に基づき、この点について詳しく解説します。
結論から申し上げますと、「怪我の状態に応じて医師の指示に従い、適切な治療を行うことが最も重要であり、怪我の回復状況に関わらず無理をして毎日通院することは、逆に損をするリスクが高い」というのが私の見解です。
では、なぜ毎日通院が逆効果になり得るのか、その理由を3つのポイントに分けて解説します。
まず、最も現実的なリスクとして、保険会社の担当者は非常にシビアに「通院実績」をチェックします,毎日通院を続けている場合、担当者は「この被害者は怪我を治すために毎日行っているのではなく、慰謝料を増やすために無理をして通院しているのではないか?」と疑念を抱くことがあります。
保険会社の内部基準や示談交渉の慣習として、通院のパターンが不自然であると判断されると、以下のような不利益が生じる可能性があります。
保険会社にとって、毎日通院する患者は「詐欺の疑いがある人物」としてマークされ、余計に厳しく交渉してくる傾向にあります。
次に、医学的な観点から見た問題です,怪我の治療には「急性期(激痛がある時期)」と「回復期(痛みが引いてきた時期)」があります。
医師が処方する治療法や通院頻度は、その時点での患者の状態に合わせています。もし、医師が「安静にしていればよい」「次の通院は1週間後で大丈夫」と言っているのに、患者がそれを無視して毎日通院すると、以下の弊害があります。
「毎日行くから、治りが早い」とは限りません。むしろ、適切な休息と治療を積み重ねる方が、結果的に通院期間は短縮され、損害賠償額も正確に算出されることが多いのです。
これが最も深刻なリスクですが、もし保険会社が「毎日通院しているが、実際には病院に行っていない(通院実績と日報が合わない等)」と疑い、それが立証された場合、詐欺罪に問われる可能性があります。
刑法第246条の詐欺罪は、他人に財産を交付させる目的で、事実を不正に認識させる行為を行った場合に成立します,通院実績を捏造したり、虚偽の診断書を作成したりして保険金を請求することは、詐欺罪の構成要件に該当する可能性があります。
「毎日行ったから、証拠があるから大丈夫」と安易に考えず、あくまで「客観的な事実(医師の診断書やカルテ)」に基づいた行動をとることが、法律上の保護を受けられる唯一の方法です。
では、正しい対処法は何でしょうか。
交通事故で「毎日通院した方がいい」と思われているかもしれませんが、それは大きな落とし穴です,保険会社の審査を通すためにも、怪我の治療のためにも、そして法的なリスクを回避するためにも、「医師の指示に従い、必要な範囲で適切に通院すること」が最も賢明な判断です。
怪我の治療は長引かせたくないものです。そのためにも、無理な通院はせず、専門家である医師と弁護士と連携して、最短で、かつ正当な損害賠償を受け取る戦略を立てることが大切です。
元のリンク:https://rb-lawyer.com/post/7810.html
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