労災における逸失利益の計算方法は？

労働災害の被災者が労働能力を喪失した場合、逸失利益として補償を受けられます。逸失利益は、労働者が災害によって失った賃金や給与にあたります。

逸失利益の計算方法は、以下のように定められています。

逸失利益の計算方法

逸失利益 ＝ 労働能力喪失期間 × 労働能力喪失率 × 基礎報酬月額 × 5/6

労働能力喪失期間

労働災害によって労働能力が喪失した期間です。原則として、医師の診断書に基づいて決定されます。

労働能力喪失率

労働災害によって労働能力が喪失した割合です。100％が完全に労働能力を失った状態、0％が労働能力に全く影響がない状態を表します。

基礎報酬月額

労働災害発生前の1年間の平均月収です。ボーナスや手当などの一時金は含みません。

5/6

逸失利益の補償額は、労働災害発生前の賃金の5/6になります。これは、労働者には労働を拒否する権利があるため、労働災害による逸失利益は5/6に限定されています。

例

労働災害により1年間労働能力が50％喪失した労働者が、基礎報酬月額が30万円の場合、逸失利益は以下のようになります。

逸失利益 ＝ 12カ月 × 50％ × 30万円 × 5/6

逸失利益 ＝ 250万円

なお、労働災害による死亡や重度の障害の場合は、逸失利益とは別に特別補償給付金や障害年金が支給されます。詳しい計算方法や適用要件については、労働者災害補償保険法や関連する告示?通知をご参照ください。