交通事故の被害者に対して支払われる逸失利益は、厚生労働省によって定められた計算方法に基づいて算出されます。この計算方法は、事故発生前の収入や年齢、職業など、被害者の様々な要素を考慮しています。以下に厚生労働省による逸失利益の計算方法について説明します。

逸失収入額の計算

逸失収入額は、事故により被害者が得ることができなくなった収入の総額です。これは、事故発生前の収入を基に計算されます。以下に逸失収入額の計算方法を示します。

年間逸失収入額 = (年収 × 逸失期間) 逸失期間 = (定年年齢 - 事故発生時の年齢)

逸失利益額の計算

逸失利益額は、逸失収入額に逸失利益率を乗じたものです。逸失利益率は、被害者の年齢、職業、残存労働能力、教育レベルなどの要素を考慮して決定されます。厚生労働省では、逸失利益率を以下の表で定めています。

| 年齢 | 職業 | 逸失利益率 | |---|---|---| | 18歳未満 | 学生 | 50% | | 18歳以上 | 肉体労働 | 60% | | 18歳以上 | 事務労働 | 70% |

具体例

例えば、事故発生時30歳の事務労働者が、年間400万円の収入を得ていて、定年年齢は65歳のケースを考えてみましょう。この場合、逸失収入額は以下のようになります。

年間逸失収入額 = (400万円 × (65歳 - 30歳)) = 1,400万円

そして、逸失利益率は70%なので、逸失利益額は以下のようになります。

逸失利益額 = (1,400万円 × 70%) = 980万円

備考

厚生労働省による逸失利益の計算方法は、あくまでも一般的な計算方法です。実際の逸失利益の算定には、個々のケースの具体的事情を踏まえた判断が必要となります。交通事故の被害者の方が逸失利益の賠償を求める際には、弁護士にご相談されることをお勧めします。