なぜ会社は労災を使用しないのか？

労働災害は就業中に発生した避けられない事故や病気であり、労働基準法に基づき企業は労働者に対して補償義務を負っています。しかし、現実には労働者が労働災害に遭っても、企業が労災申請をしないケースが少なくありません。なぜこのようなことが起こるのでしょうか？

労災申請が面倒で時間のかかるプロセス

労災申請は、書類の提出や調査など煩雑な手続きが必要であり、企業にとっては大きな負担となります。また、申請から認定まで時間がかかることが多く、その間は労働者は休業を余儀なくされるため、企業の業務にも支障が出ます。

労災認定されると保険料率が上昇

労働災害が認定されると、企業は労働災害保険料率が上昇します。労災認定が増えると保険料率がさらに上昇するため、企業は労災申請を避けようとする傾向があります。

企業のイメージダウン

労災が認定されると、企業のイメージダウンにつながる可能性があります。労働者が労働災害に遭うことは、企業の安全管理の不備を露呈することになり、顧客や取引先から信頼を失う恐れがあります。

労災認定を拒否できるケースがある

労働基準法では、労働者が故意または重大な過失によって労働災害を起こした場合、労災認定を拒否できるケースがあります。企業の中には、この規定を悪用して労災申請を拒否しているところもあります。

労災不認定の被害

労災申請が不認定されると、労働者は補償を受けられず、治療費や休業補償を自己負担することになります。また、企業側が労災申請を拒否した場合、労働者は労働基準監督署や裁量労働審判所に申し立てをすることができますが、時間がかかり、精神的負担も大きくなります。

労働災害は労働者にとって大きな負担であり、企業が労災申請をしないことは労働者にとって不利益です。企業は、労災申請が面倒だから、保険料率が上がるからという理由で申請を避けるのではなく、労働者の安全と健康を守る責任を果たすべきです。