交通事故の通院を途中でやめると、損害賠償請求が不利になる?

 2026-03-06    85  

交通事故に遭ってしまい、怪我をして通院している方の中には、「痛みが引いてきたので通院をやめたい」「仕事が忙しくて通院が辛い」と考える方もいらっしゃるかと思います。また、保険会社から「治療が終わったら通院を打ち切ってください」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、交通専門の弁護士として強くお伝えしたいのは、「通院を途中でやめてしまうと、これまで支払われるはずだった損害賠償金が大幅に減額されてしまうリスクがある」ということです。これは、後になって「もっと稼げていたのに」と悔やむことにならないよう、しっかりと理解しておく必要があります。

交通事故の通院を途中でやめると、損害賠償請求が不利になる?

本記事では、交通事故の通院を途中でやめた場合にどのようなリスクがあるのか、その理由と具体的な対策について詳しく解説します。

通院を途中でやめると「損害」が認められなくなるリスク

まず、日本の交通事故損害賠償制度の仕組みを簡単に理解する必要があります,被害者が怪我をしている間、保険会社は「交通事故損害賠償保険法」に基づき、被害者の医療費を立て替えて支払ってくれます。これは「通院している間」に限られます。

ここで問題になるのが、「通院を途中でやめてしまった場合」です,通院をやめた時点で、保険会社は「これ以上の治療は必要ない」と判断する可能性が高いです。すると、以下のような影響が出てきます。

  • 通院費・休業損害の減額: これ以上通院していなくても治療が継続できると判断されれば、通院日数に基づく「通院慰謝料」や、通院に伴う「休業損害(休まなくてはならなかった期間の給料)」の支払いが打ち切られるか、大幅に減額されることがあります。
  • 後遺障害が認められなくなる: 痛みが引いても、実は内臓にダメージが残っていたり、ために後遺障害が残っている可能性があります。しかし、通院を途中でやめてしまうと、病院との関係が切れてしまい、適切な検査や診断が受けられなくなります,結果として、「後遺障害が残っていない」と認定され、後遺障害慰謝料や逸失利益が受け取れなくなってしまうケースも少なくありません。

「治療放棄」とみなされるリスク

日本の裁判所や保険会社の判断基準として、「治療を途中でやめた場合、それは被害者の責任で治療が中断されたものとして扱われる」という考え方があります。これを「治療放棄」と呼びます。

もし治療放棄とみなされると、被害者に過失があると判断される可能性があります,被害者に過失があれば、その分だけ賠償額が減額されてしまいます,例えば、怪我の程度が全治1ヶ月であっても、通院を途中でやめてしまうことで「治療期間が1週間しかなかった」と認定され、減額されてしまうことがあるのです。

症状が遅れて現れるリスク

「痛みが引いてきたからやめよう」と思って途中で通院をやめてしまうと、実は「むち打ち症」や「脳震盪(のうしんしょう)」など、症状が数日や数週間後に現れるケースがあります。

多くの人が症状が引いたからといって治療をやめると、その後に激痛が再発したり、長期にわたる慢性疾患になってしまったりすることがあります。その後、事故との因果関係を証明しようとしても、すでに治療が途切れてしまっていると、証明が非常に困難になります。

後遺障害診断のチャンスを失う

交通事故で怪我をした場合、最終的には「後遺障害等級認定」を受け、それに基づいた一次性慰謝料や逸失利益を受け取ることが、被害者にとっての大きなメリットです。

しかし、後遺障害等級認定を受けるためには、適切な時期に病院を受診し、医師に「事故との因果関係」を証明する診断書を書いてもらう必要があります,通院を途中でやめてしまうと、医師も「もう治ったのか?」と判断し、事故との因果関係を明確に書いてくれなくなります,結果として、本来受け取れるはずだった「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」を失うことになりかねません。

弁護士への相談と対策

通院を途中でやめる前に、必ず以下のステップを踏んでください。

  1. 医師に相談する: 痛みが引いても、医師に「今後の経過についてどう見るか」を相談してください,医師から「今後も数回通院が必要」「後遺障害の可能性がある」と言われる場合は、まだ通院を続けるべきです。
  2. 後遺障害診断を検討する: 痛みが引いても、不安がある場合は、後遺障害の有無を専門の医師(指定医など)に診断してもらうことを検討してください。
  3. 弁護士に相談する: 交通事故の損害賠償請求は複雑です,通院を途中でやめようとお考えの場合は、弁護士に事前の相談を入れることを強くお勧めします,弁護士であれば、保険会社の不当な減額要求を防ぎ、適切な時期に示談交渉や示談の成立を図ることができます。

結論

交通事故の通院を途中でやめることは、損害賠償請求において非常に大きなリスクを伴います,一時的に通院が辛くても、後になって後悔しないためにも、無理をせず医師や弁護士に相談しながら、最善の方法を探っていくことが大切です,怪我の完治を待ち、本来受け取るべき権利をしっかりと確保しましょう。

元のリンク:https://rb-lawyer.com/post/6909.html

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