交通事故で健康保険を使う際の注意点とデメリットを弁護士が解説

 2026-03-07    240  

交通事故に遭ってしまった場合、痛みがひどく、すぐに入院や通院が必要になることも少なくありません。その際、「自分の健康保険を使いたい」と考えるのはことです。しかし、日本の医療制度は非常に複雑であり、交通事故の被害者である場合、健康保険を適用する際には、実は大きな「罠」や「デメリット」が存在します。

私はこれまで多くの交通事故の被害者のご相談に乗ってきましたが、多くの人が「保険を使ってすぐに医療費をカバーしてほしい」という気持ちから、健康保険に加入している会社や自治体に申請してしまい、後になって「損をした」と気づくケースに直面しています。ここでは、交通事故で健康保険を使う際に知っておくべき重要な注意点について、弁護士として解説します。

交通事故で健康保険を使う際の注意点とデメリットを弁護士が解説

「代位求償権」という最大のリスク

まず、最も重要なのは、日本の公的保険である健康保険には「代位求償権(だいぎしゅうしょうけん)」が付いているという点です。これは、被害者が交通事故の加害者から補償を請求する前に、あらかじめ自分の健康保険を使って治療費を支払った場合、その保険会社が「あなたの代わりに加害者からお金を回収してきました」という権利を持っているというものです。

つまり、健康保険を使って治療費を払ってしまうと、加害者側(または自賠責保険、損害保険会社)に対して「治療費について請求する権利」を失ってしまうのです,本来であれば、被害者が受けたすべての治療費や入通院慰謝料、休業損害など、損害の全額を加害者に請求できるはずの権利が、健康保険を使った分だけ失われてしまいます。

「自身分」と「第三者分」の区別

この代位求償権の問題は、医療費だけでなく、後々の示談交渉において非常に重要な概念、「自身分」と「第三者分」の区別を理解する上で不可欠です。

「自身分」とは、被害者が自分の責任や保険を使わずに、自分の貴重な時間をかけて加害者側と交渉して回収した損害のことです。「第三者分」とは、健康保険や労災保険、自賠責保険を使って回収した損害のことです。

例えば、加害者から示談で「治療費50万円、慰謝料50万円、休業損害20万円」と合意が得られたとします。もし、この50万円の治療費について、被害者が健康保険を使ってしまっていた場合、その50万円は「第三者分」になります。つまり、加害者に対しては「慰謝料50万円と休業損害20万円」しか請求できず、結果として示談金が50万円減ってしまうことになります。これが、健康保険を使うことによる最大のデメリットです。

「傷病手当金」の活用と注意点

交通事故で怪我をして仕事を休むことになった場合、健康保険の「傷病手当金」が支給されることがあります。これは、病気やけがで仕事を休んでいる間に収入が減ることを補填するものです。

しかし、傷病手当金を受け取る際にも注意が必要です。もし、加害者から示談金の一部として「休業補償」としての支払いがなされた場合、それと傷病手当金を重複して受け取ることはできません(修正請求が行われます)。したがって、加害者から金銭の支払いがある前段階で、あらかじめ「傷病手当金の申請手続き」を行ってしまうと、後々の示談交渉が非常に面倒になります。

弁護士や適切なアドバイスのもとであれば、「示談成立までの間は傷病手当金を受け取り、示談金には休業補償を含めない」という手順をとるのが一般的ですが、素人が独断で手続きを進めると、このようなトラブルに発展しやすくなります。

どのようなケースで健康保険を使うべきか?

では、健康保険は全く使ってはいけないのかというと、そうではありません,以下のようなケースでは、健康保険の利用が有効です。

  • 加害者の連絡がつかない場合: 加害者が逃走している、あるいは連絡先を教えてくれない場合。
  • 自賠責保険の支払いが遅れている場合: 複雑な事故で自賠責保険の判断に時間がかかっている場合。
  • 資金繰りが困難な場合: すぐに入院費用を工面する必要があり、加害者への請求手続きを先延ばしにできない場合。

これらの場合は、まずは生活を守るために健康保険を使うのが優先されます。ただし、その後の示談交渉においては、必ず弁護士に相談し、健康保険を使ったことによって失われた権利を回収するための戦略を立てる必要があります。

結論:まずは専門家に相談を

交通事故で健康保険を使うことは、一見すると手間がかからず便利な方法に見えますが、実は示談金額を大きく減らすリスクを秘めています,特に、入院費用が高額になったり、長期間の通院が必要になったりする場合、そのデメリットは計り知れません。

私は、被害者の方々が一時的な痛みや金銭的な負担に目を奪われず、最終的に自分が本来受け取るべき「全額」の補償を得られるよう、以下の点を強くお勧めします。

  1. 事故直後は冷静に、まずは警察や保険会社への連絡を行う。
  2. 健康保険の申請は、示談成立まで先送りにするか、あるいは必ず弁護士に相談してから行う。
  3. 示談交渉には、専門知識を持つ弁護士に依頼する。

交通事故は、一度の決定で後の人生に大きな影響を与える可能性があります,健康保険を使う際の注意点を理解し、賢く選択することで、被害者の方々の権利を最大限に守りましょう。

元のリンク:https://rb-lawyer.com/post/6914.html

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